シュルレアリスム(surrealisme)とは

概要

超現実主義。20世紀の芸術思潮の主流の一つ。

アンドレ・ブルトンの「第一宣言」

1924年、アンドレ・ブルトンの「第一宣言」によって興った運動だが、美術、詩、文学、政治など広い範囲にわたって、想像力の解散と合理主義への反逆を唄え、人間自体の自由と変革を目指した点では、永遠の問いを投げつづける思想である。

シュルレアリスムの芸術家

ダダによる否定と破壊を受けついで、最初、ブルトン、スーポー(Philippe Soupau-lt、1897-)、エリュアール(Paul Eluard、1895-1952)らの詩人やエルンスト、ミロらの画家たちは、オートマティスムの方法で、狂人、霊媒、夢、幻覚などにあらわれる、意識下の非合理な領域にメスを入れた。フロイトの心理学の影響を見逃すことはできない。

エルンスト

美術では、コラージュ、フロッタージュ、デカルコマニーの手法で不安な幻覚を定着したエルンストがこの時期を代表する。

アラゴン、ブルトン、ダリ

1930年頃から、コミュニスムの政治に参加するアラゴンらと、内的世界の優位性を主張するブルトンらが分裂するが、美術では、偏執狂的批判的方法で、幻想の即物的な表出を表現したダリが、後期の代表的な画家として登場する。

アメリカに亡命したシュルレアリストたち

さらに、第二次大戦中アメリカに亡命したシュルレアリストたちが、その想像力の自由の力によって、抽象表現主義の誕生に大きい影響を与えたことは否定できない。ダリやエルンストを、統制の体制に仕えたといって除名したブルトンは、第二次大戦後も孤絶した位置で、この運動をとりわけ秘教的側面に展開しつつ、1966年に歿した。

出典・参考文献:『新潮 世界美術辞典』新潮社(1985年)