概要
20世紀初頭イタリアを中心に興った芸術運動。
詩人マリネッティによる「未来派宣言」
詩人マリネッティが1909年2月20日付のパリの日刊紙 Le Figaro(フィガロ)紙上で最初の「未来派宣言」を発表し、翌1910年3月8日、ボッチョーニ、カルラ、ルッソロ、バルラ、セヴェーリーニがトリノのキアレラ劇場で3000人の観衆を前にイタリアでの最初の未来派運動宣言を行なった。
機械文明の感覚を力強く表現すべしと主張
新時代はそれにふさわしい生活様式と表現を必要とするとし、いっさいの過去を清算して、速度とダイナミックな力の渦巻く機械文明の感覚を力強く表現すべしと主張した。
美術館や図書館をぶちこわせ
マリネッティは、速力、冒険、闘争、戦争、軍国主義、愛国心、無政府主義的破壊精神、女性への侮蔑をたたえ、美術館や図書館をぶちこわせといったが、造形の観点からは、未来派は対象の物質性を破壊して、キュビスムから得た同時性の思想を画面に定着して、「運動」の表現に新たな道を拓いた点が注目され、ボッチョーニの彫刻にも同じ表明がみられる。
ダダをはじめ20世紀芸術の諸運動に影響
運動としては1915年頃までで止んだが、ダダをはじめ20世紀芸術の諸運動に与えた影響は少なくない。
日本の美術・文学運動に影響
日本でも大正10年代の美術・文学運動に影響があった。
出典・参考文献:『新潮 世界美術辞典』新潮社(1985年)